睡眠が足りていますか?
睡眠は人間の生命を維持するための行為の中で最も重要なものです。
でも、現代人の多くは睡眠が足りていない生活を送っているようです。
この記事の目次
現代社会の睡眠の実態
厚生労働省が行う「国民健康・栄養調査(平成29年)」によれば、
1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合は全体で、男性36.1% 女性42.1%
これらを年代別にみると、働き盛りの40代をピークに
30代 男性43.5% 女性37.7%
40代 男性48.5% 女性52.4%
50代 男性44.9% 女性51.6%
さらに、5時間未満の睡眠しかとれていない割合は
30代 男性7.9% 女性8.5%
40代 男性11.3% 女性10.6%
50代 男性10.8% 女性11.5%
となっており、40代、50代のほぼ半数は一日6時間未満、さらに10人に1人は一日5時間も眠れていない。
これは、管理職や現場責任者への昇格で仕事上の重責を背負う事になったり、親の介護などの家庭での生活の変化等、ストレスにさらされる影響もあるのだろう。
また睡眠で休養が十分に取れていないと答えた人の割合も年々増加し、40歳代では30%の人が足りていないと答えている。
これは、“睡眠で休養が「あまりとれていない」又は「まったくとれていない」と回答した者”の割合であることから、睡眠をとりたくてもとれていないと本人が自覚しているケースでもあり、改善が必要な部分なのです。
睡眠が足りないことについては、最近では、一過的な寝不足だけでなく、それを負債ととらえ、積もりに積もっていく状態である、睡眠負債という言葉もスタンフォード式最高の睡眠で広く認知されてきました。
昔と比べて、仕事の面でいえば、やらなければ給料が上がらない成果主義で残業は増える。その一方で、スマホやタブレットなど、ところ構わず気軽に使える情報機器も生活に深く浸透している。それを利用したSNSやネットサーフィンを始めたら時間なんてすぐに過ぎる。(もちろん、必要性は別問題)
そして、こんな時代に削られていくのは睡眠時間ばかり。
それであればと、睡眠の質という観点からのアプローチも重視されてきています。
ストレスマネジメントのセミナーなどに出席された方はご存知だと思いますが、必ず出てくる話題も「睡眠の質について」です。ストレスがたまると睡眠行動への影響がほぼ必ず出てくるということで、ストレスと睡眠は直結しています。
これは誰しもが認識していながらも、なかなか質の良い睡眠を取れない。そういったところもあるのだと思いますし、基本的に高ストレス下に置かれた環境の中では、睡眠自体を取ることが困難な場合が多いです。
睡眠不足になると、
・眠くなり頭が回らない。
・集中力がなくなる。
・体が疲れる。
・疲労感が回復せず、ずっとだるい。
逆に言えば、これらはどれもやる気に直結するものでもあります。
さらに、睡眠負債を抱えるようになり、慢性的に睡眠が確保できない状態に陥ると、
・精神的な疲れ
なども顕著に表れ始め、やがては
・心を壊す
場合もあります。
そうならないために、睡眠はとても重要なのです。
これらは、実のある質の良い睡眠をとることにより、解消できるはずなのです。
睡眠不足と睡眠負債
睡眠不足と睡眠負債は似ているようで異なります。
睡眠不足というのは一時的な寝不足などが該当しているでしょう。
単純に夜更かしして寝たりなかったりなどで、これは一過性のものであり、仮眠を取れば解消します。一時的な睡眠の不足です。
その一方で睡眠負債というのは、慢性的に睡眠が足りておらず、蓄積されている状態。たまに睡眠時間が確保できて、たくさん眠ったつもりでも、やっぱり眠いしだるい。
時間的には寝たつもりでも、やっぱり眠い状態というものを指しています。
睡眠が少なすぎて、体に何らかの変調をきたしてる状態です。この状態になると簡単には解消しないので、生活習慣や睡眠環境を改善していく必要があります。
自律神経をうまくコントロールしよう
人間には自律神経と呼ばれる、交感神経と副交感神経というものがあります。
これにより生活を送る活動的な状態と、体を休める休眠状態を使い分けています。
この二つの神経系のオンオフが乱れると入眠障害を起こしたり情緒が不安定になったりします。ひとえに眠いと言っても頭の中だけの話ではなく、身体全体の話なのです。
そして、この二つの神経系は、体温と明るさに密接に関係してきます。
睡眠に最も必要なものは体温管理
睡眠への体温の管理はとても重要です。
体の中心温度が下がってくると人間は眠りを感じてきます。
そして睡眠をとるようになるのです。とても極端な例になりますが、冬眠をしている動物などありますよね。あれはなぜ冬に冬眠するかといえば、体温を下げるのに適切な環境だというものもあります。
そしてまた話は変わって、こんどは雪山で遭難しそうになったケース。雪山に行かなくても、寝ると死ぬぞというようなことを言われてるシーンなどをドラマなどで見たことがあると思いますが、実際に体が芯から冷えてきて低体温症というような状態になってくると、とても強い睡魔が襲って来るそうです。
そして、そのまま眠ってしまうと体の機能が低下し、そのまま体温を上げることができずに他からの助けがなければ、最後には残念な結果になることもあるとのことです。
いかにしてうまく体温を管理していくというところは良質の睡眠をとる上では、とても重要なのです。
自律神経が眠るモードに入り、副交感神経が優位に働く状態に切り替わり始めると、体の外側(皮膚側)の血管が拡張し始めます。これは血管を開いて熱を逃がすためで、特に激しい運動をしなくとも、血管を拡張するのです。
そしてある程度すると体の内部からの熱が外に放散されて眠くなるということになります。
良い眠りを得るためにお風呂をうまく使うのはこの性質を利用したものです。
体の中心の体温が高いままだと眠れませんので、お風呂に入って、表面の血管を広げてあげる。
そして2、3時間後を目安に睡眠に入るというのが一番手っ取り早い方法です。
余談になりますが、子供が眠たそうにしているときに、手を握ると手が暖かくなっているのがわかります。これは体が眠る準備に入ってるようなところなのです。お父さんやお母さんには経験のあることだと思います。
光環境の影響はどの程度?
明るすぎても眠れない、これは誰もが経験のあるところだと思います。
通常では、明るくなると目が覚めます。これは、睡眠を誘発するメラトニンの分泌が、体が浴びる明るさに依存するものと考えられているからです。
元々人間は、明るさによって、体の始動スイッチが切り替わる。地球上でも比較的強い生物は昼間に活動する。そのため、明るくなったら起きるように体に体内時計がセットされているのは全ての哺乳類に共通しています。逆に弱い生物などは外敵の少ない夜に活動するように夜行性になっています。
さらに、私たち人間は電気というもので、太陽に限らず明るさをコントロールできるようになってしまいました。そのため眠る直前までは明るくしておけることから、生活のサイクルを自分で作ることができることになっています。
それと、暗すぎても眠れません。これは不安感が増幅するためと言われています。
また、寝ながらスマートフォンをしているとその刺激により交感神経にスイッチが入ってしまい、こちらも入眠がしにくくなります。
その他、気を付けるべき要因は?
寝る直前の飲食
食事の消化をしている状態であると身体が完全には休まらず深い眠りにつきにくいと言われています。
寝酒と多量のアルコール
寝る前に飲むいわゆる寝酒は、頭の働きを鈍らせるので眠く感じられます。
間違ってはならないのは、アルコールは血管を拡張するため、体温の低下に役立つとも思われがちです。でもこの熱自体はアルコールの分解で熱が発生しているものであり、体の中心部の温度を放散しているものではありません。
コーヒーはあまり気にしなくていいかも
それではコーヒーはどうでしょうか。
カフェインなどの覚醒作用が心配なところですが、コーヒーを飲む習慣がある人はすでに体が順応してしまうので、それほど気にする必要はないでしょう。なぜなら、コーヒーを飲み始めたころは、目が冴えて眠れないなんて経験をしたかもしれませんが、今では一日何倍も飲んでも大丈夫になっているでしょう?
逆に体が温まったりアロマ効果でリラックスできたりするので、少量なら効果があるかもしれません。(ただし、これは個人差あり)
睡眠を助けるサプリの効果
睡眠系のサプリがいろいろ発売されています。
これらはグリシン、トリプトファン、GABA、テアニン等のアミノ酸類、セントジョーンズワート等のハーブ類、そしてメラトニンなどの生体ホルモンに関するものがあります。
アミノ酸類は体に必要な栄養素を補い、よい状態を維持するので、眠気に襲われることはありませんが、眠ってからは深い眠りを期待できます。
ハーブ類はアロマ等による安息効果および、漢方的な効果も含まれています。
メラトニンは、体内の血中濃度が一日周期でサイクルを描いていることに着目されたものです。ただし、こちらは、取り扱いには注意が必要かもしれません。
そのほかに、睡眠改善薬も発売されています。これは、医薬品として発売されていますが、睡眠薬とは機序が異なります。
アレルギー性鼻炎の薬を飲むと眠くなることを利用しており、正しく使えば入眠をサポートしてくれます、サポートというより、比較的、積極的な睡魔が襲ってきます。
眠り始めはいいのですが、体温等の睡眠環境の管理ができていないと、途中で目が覚めたりする場合もあります。あくまでも入眠の手助けです。
これらは、入眠、睡眠時、起床時と各々が働く範疇が異なりますが、いずれも重要です。でもすべてはどうか?と考えたら、自分にとって睡眠に何が足りないのかを考えて選択的に使った方がいいのかもしれません。
なぜなら、ミックスしてもそれほどコストをかけずに市場に提供できそうですが、なぜかそんな製品売っていませんよね。
また効くと思って飲むことも大切です。ある意味、暗示をかけるのです。
そういう意味では口コミの評価などをよく読んでおくのもいいかもしれません。
【グリシン】
グリシンはアミノ酸の中でも人間の体内に非常に多く含まれてる部類でもあります。
グリシンは抑制系の神経伝達物質であり、これを補給してあげることにより抑制系の効果を期待するものです。その機序は複合的なものであり、簡潔には言い表しにくいものではありますが、実際に実験して得られた効果に基づき、「ぐっすり眠れる」、「すっきり起きられる」等の安眠効果が確認されています。
また、性状が安定していて、かつほんのりした甘さがあることと、細菌の繁殖を抑制する効果があることから、食品添加物としても多く使われています。
このように、一般的によく使われるものであるので、工業的にかなり大量に生産されている。そういう物質でもあります。
人によってはここになんだか違和感を感じてしまう人もいると思いますが、普段から体に入っているものなので安心していいと思います。
選ぶ決めては、2つ。
携帯性、そして飲みやすさです。
携帯性についてですが、実はグリシンは粉だけで1 kg等で売っています。
一回の摂取量の目安が3g程度なので、コスパは抜群です。
でもこれを旅行先などに持っていくというのは、粉の状態だとなかなか大変です。
これが個装されている製品であれば常に楽ですよね。
それと、グリシンはほんのりと甘い性質を持っています。
飲みやすさについてはこれが曲者で、この甘いだけというのも、苦手な人にはとことん苦手なのかもしれません。
これを飲みやすいようにグレープフルーツやレモンのフレーバーで仕上げてある製品があります。
味の素 グリナ
グリシン3000㎎配合で飲みやすく携帯性も抜群なのですが、
コストが高いのが難点。
でも、味の素なので信頼性は高いですよね。
お試しパックから試してみるのもいいかも。
ファイン グリシン
こちらもグリナと同様3000㎎のグリシン配合で個装です。
コスパは高いですが、グリナとの違いは何なのだろう?
【Amazon.co.jp 限定】ファイン グリシン3000 ハッピーモーニング 30日分(1日1包/30包入)
- 出版社/メーカー: ファイン
- 発売日: 2014/09/18
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グリシンパウダー
いろいろなメーカーから出ていますが、とにかく安く、コスパ抜群です。
製品の時価も評価も刻一刻と変わるので、いろいろな製品を確認してからの方がいいかもしれません。
私も一度試したことはありますが、途中で飽きてしまいました。
根気のある方向けかな。
【GABA】
GABAもグリシンと同等の効果を発揮する抑制系の神経伝達物質です。チョコレートなどにも配合されていたり、なじみが深いですね。
これに加えて、抑制系を利用して血圧降下などの作用も期待されています。
玄米に多く含まれますが、トマトジュースでも補給(200mlあたり20~30㎎)できますよ。
DHC ギャバ
200㎎配合です。
Now Foods 社 (アメリカ製)ギャバ GABA 750mg
輸入物は、コスパ抜群なんですが、配合量が高すぎてちょっと怖い。
GABAに関しては、トマトジュースもおすすめです。
【テアニン】
最近、個人的におすすめなのがテアニンです。
テアニンは質の良い睡眠に効果的。就寝前に摂ればリラックスしてぐっすり眠れます。 - サラサラいこうね。
元々テアニンはお茶から抽出した物質で、テアニンの「テア」はお茶の「ティー」に由来します。体内では鎮静効果がある物質であるのですが、この効果を出すには、お茶にして5杯から20杯くらい飲む必要があるのだとか。
強く効果が必要な人は20杯、比較的ストレスに耐性ができている人は5杯程度で効果が出てくるそうです。
それでも、それだけのお茶を飲むのって大変ですよね。
むしろそれだけ飲んだらカフェインも相当摂取するので、さすがに目が覚めてしまいます。
これを取る手段としてサプリメントが便利なのです。
テアニンゼリーというものや、シャンプーメーカーのアンサーからも出ています。
森下仁丹 テアニンゼリー
テアニンが200㎎配合されています。
ゼリーなので吸収が早く、眠る直前でもいいですね。
アンファー Douウェルナイト
L-テアニン100㎎ グリシン200㎎ GABA30㎎配合
グリシンとGABAに関しては、それほど多い配合量ではありません。
テアニンの効果を期待すべきサプリですね。
【セントジョーンズワート】
ハーブ系のサプリメントではセントジョーンズワートなどがありますよね。
サプリメントでなくても、カモミールなどの香りもハーブと同じような働きを示します。こちらも鎮静効果を期待したものであります。普段の生活から、そのようなカモミールラベンダーなどを取り入れてハーブを積極的に取り入れた生活をしている方にとってはとても効くのかなと思います。
ただし、ハーブの中でも、セントジョーンワートは強力な方で、国によっては医薬品認定されているものでもあります。(日本ではサプリメント扱い)
とはいうものの、そこはハーブ。副作用も少なく安心できる範囲といわれています。
こちらの方も DHC等の日本で実績のあるメーカーが出されているので安心して試すことができると思います。でもハーブだと感覚的に効果が薄いような気もしますので、生活習慣の改善もできる方用という感じはします。
なお、有意な摂取量として、量臨床試験では1日350㎎以上からとのこと。
DHC セントジョーンズワート
650㎎配合です。
【睡眠導入薬】
睡眠導入薬はこちらは先にも出た通り、花粉症やアレルギー性鼻炎などの薬を飲むと眠くなることが一般的に起こる副作用なのですが、これを利用したものです。
アレルギー薬を飲むと眠くなってしまうことは体質や薬との相性もありますもで、病院でお医者様と相談しながら、なるべく昼間に眠くならないように、アレロックであったりザイザルであったり、いろいろ試していると思いますが、基本的にはやはりこれらの薬は眠気が出てきます。
この眠気を催す性質を使おうという製品です。
こうなると、医薬品の領域ですね。
【その他】
(亜鉛)
睡眠サプリではないのですが、体の新陳代謝を活発にして、眠っている間の成長ホルモンの働きを最大限にサポートする亜鉛を取ると、体の疲れを効果的にとることができます。意外とおすすめ。
(蟾酥(センソ))
蟾酥(センソ)とは、いわゆるガマの油ですが、自律神経を整えるのにも有効な漢方です。救心が有名ですよね。
就寝前の服用も効果的です。
睡眠薬はどうなのか?
本当に眠れなくて困っていたら、「眠れなくて困っている」と自覚があるうちに病院に行って睡眠薬を処方してもらうのもありです。内科でOKなはずです。
放っておくと、「眠れなくて困っている」いう自覚すらなくなることもあり、そうなるとリカバリーが相当大変です。
睡眠薬は誤解の方が強く、危険なものと思われがちですが、所定の量を守れば中毒性も常習性もなく一番安全な方法かもしれません。
特に外的で自分ではコントロールしにくいストレスに由来する睡眠負債など、環境改善やサプリではどうにもならない場合には、心身に変調をきたす前に、思い切って医者に行くのも重要です。
でも、一つだけ注意したいのは、いつでも眠れる便利な薬と思わないようにすることが重要とのことです。