お酒の中でも日本酒やビールのような糖質が高いお酒は、
「血糖値が上がりやすそうなので糖尿病と強い関連があるんだろうな」
というのが一般的なイメージだと思います。
ところが実際は、糖質ではなく、アルコールが糖尿病の原因となることも多いのです。
糖質の低い、焼酎やウィスキーのような蒸留酒なら安心と思われている方。
大きな間違いをしているかもしれません。
痛風とビール(プリン体)とは違うのです。
糖尿病の原因が、生活習慣(特に飲食由来)の場合は、いきなり膵臓の機能がおかしくなることは稀です。
その前段で、脂肪肝の状態になっていることがきわめて多いです。
脂肪肝は直接症状が出ないし、軽度なものは病気としての診断もされず、治療すらされないので甘く見てしまいがちですが、ほっておくと、肝硬変や肝臓ガンに進展する場合もあるので、注意しておく必要はあります。
とはいえ、脂肪肝でも程度はあれど、中程度までの状態であれば、すぐに肝臓自体が重症化するようなものではありません。
肝臓の病気よりもリスクが高いのは糖尿病です。
脂肪肝はこんな悪さをする
脂肪肝になると、食事の直後、ブドウ糖を肝細胞が取り込むことができなくなり、グリコーゲンとして蓄えることも難しくなります。
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その結果、ブドウ糖が取り込まれないことから血糖値が急激に上昇。
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これに反応して血糖値を下げようとインシュリンを過剰に分泌します。
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そして、急激な血糖値の低下が生じる。
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このようなサイクルが頻繁に起こると体が対応できなくなり、糖尿病になるのです。
脂肪肝の種類
アルコール性脂肪肝
ところで、脂肪肝にもいくつか種類があり、通常の飲みすぎによる脂肪肝はアルコール性脂肪肝と呼ばれます。
これは、通常はアルコールのような毒物が体内に入ると、肝臓が分解して、毒素を分解、そして排出されるのですが、これも肝臓の負荷をかけすぎてしまい、何らかの肝機能に障害がおこると脂肪として溜まってしまいます。
非アルコール性脂肪肝
摂り過ぎがよくないのは食事も同様です。食べ過ぎが原因で脂肪肝になる人もいます。
いわゆる非アルコール性脂肪肝と呼ばれます。
実はこちらの方は体質による部分も多く、治療は難しく、かつ重症化しやすいと言われています。
低栄養性脂肪肝
そしてもう一つ、気をつけたいのが低栄養性脂肪肝。
ダイエットなどで短期間かつ急激に摂取する栄養を減らすと、体が飢餓状態と判断し、低燃費の飢餓モードに切り替わります。
ダイエットの場合は、ただ食を減らすだけでなく、トレーニング等のエネルギー消費行動を同時期に行うため、体の代謝にとっては、特に危険なことをしていることがあるのです。
この時、代謝の激しい筋肉等が自己破壊して筋肉を減らし、体全体の代謝を落として低栄養下での生命維持をしようとします。
この状態になると基礎代謝が落ち、エネルギーを消費しにくい体質になります。
そして、少ない栄養のつもりでも栄養分が余ってしまい、肝臓に溜まってしまうのです。
ダイエットをしても、リバウンドをする場合があるのは、このためです。
単純にダイエットで食事療法にも耐えてきたから、その反動で食べ過ぎてしまうというのは根本的な原因ではありません。
過度なダイエットのせいで、体が飢餓状態になっていて、著しくエネルギー代謝量が落ちている状態であることから、昔と同じ量を食べても平常時より余分にエネルギーを取っていることになってしまうのです。
おわりに
表題の解答としては、お酒(アルコール)の飲みすぎ→アルコール性脂肪肝→放っておくと糖尿病。という事になるのですが、お酒以外にも、脂肪肝になる要因はいろいろあります。気を付けたいですね。
関連する過去記事です。
肝臓の細胞分裂の活性化に効果があり、処方薬になっている国もあるのだとか。