サバ缶。
これはトマトジュースと同じく、健康番組で取り上げられるたびに定期的に店頭から姿を消す商品の一つである。
その主な健康効果はダイエット。
これに効果があるとして、サバ缶の有効成分EPAに着目したものになっている。
EPAといえば、青魚。
手軽な青魚といえばサバ缶。
ゆえに、EPAといえば鯖缶とまで市民雑学に広く浸透している。
実際には、EPAの中性脂肪の低減効果に着目しているものであり、厳密には、中性脂肪抑制をダイエットに直結させることには、風桶論の介入が必要なのだろうが、そこは番組の制作サイドの良心に任せるとして、中性脂肪低減への効果は確からしいので、大目に見ておく。
ダイエットが好きで飽きっぽい日本人
世界的にも肥満率の低い日本。
栄養状態のいい先進国に限定すればぶっちぎりの低さである。
これに寄与するのは明らかに食習慣、食生活。
外国の方と話した際には、「最近、ここではローファット(low fat)がブームだけれど、日本食はローファットではなく、ノンファット(Non fat)だね」なんて言っていた。そんな感覚もわかる気がする。
それでも、である。
とかく日本人はお手軽なダイエットが大好き。
食べるだけでいいって言ったら一番楽だし。
しかも、サバ缶は結構安い。
もちろん、食べるだけダイエットには不味いものもあるけれど、当然のことながら、そんなものはテレビも取り上げない。
そして食べるのに飽きてまた、在庫が溜まってきたころにまた特集を組む。
至極簡単なTVの情報番組の鉄板ネタでもある。
そんなサバ缶を買う際に、日本人なら誰でも食べたことのある「鯖の味噌煮」を連想してか、鯖缶はとにかく味噌がよく売れる。
次に、カロリーのことを気にしてか水煮もかなりの確率で売り切れる。
サバ缶は味噌だけではない
しかし、鯖缶は醤油が一番おいしいんじゃないかと思っている。個人的に。
醤油煮は流通量が少ないこともあるけれど、安定してうまい。
この理由の一つは鯖の脂。
缶詰に使う鯖は小さい鯖である。
鯖はある程度成長して大きくならないと脂がのってこない。また、ただでさえ少ないのに、時期によっても脂の量は変わる。
味噌煮というのは基本的にしっかりと脂がのっているサバに合った料理なので、缶詰は本来の味ではない。サバの味噌煮風というべきかもしれない。
それに、味噌の風味は結構強い。ゆえに、ただでさえ少ない鯖の脂の旨味を消してしまうのだ。
また、味は濃いめにしないと、脂がのらずぱさぱさ感のあるサバはいまいち食べずらく、その結果、商品によっては味噌の味しかしないものもある。
一方で、醤油煮の場合は、そこまで醤油が主張してこないので、比較的さっぱりとして、それほど脂が乗っていないサバでも十分に旨味を感じ取ることができる。
次にもう一つ、鯖は足が早い。
いわゆる、いたみが早いってわけだが、その魚臭さを消すために、味噌煮や醤油煮にするのだけれど、その臭みを消すにあたり、醤油の方が、その他に加えるショウガやネギなどの臭み消しともなじみやすい。
サバ缶を健康に役立てたいなら
冒頭の話に戻るけれど、健康法としてサバを食べるのであれば、続けることが重要である。飽きて途中でやめたら、1缶分の鯖のカロリーを余分にとっただけで終わってしまう。
食卓に上がるようなおいしい鯖の味噌煮は、大ぶりのサバであるから美味しいのであって、缶詰になるレベルの大きさになってしまうと、やはり味は劣る。だから飽きる。
その缶詰に適した大きさの鯖であるならば、醤油もなかなかいい仕事をしてくれるのだ。
店頭の鯖缶コーナーでは味噌が圧倒的なシェアを誇っていて、醤油はあまりメジャーではなく、それほど種類は多くはないけれど、鯖の醤油煮を見かけたら、食べ比べてみてほしい。
飽きっぽくても味を変えながら食べていったら続けられるかもよ。