社内メールなどの文章の冒頭に必ずある一言。
「お疲れ様です」と「おつかれさまです」
「ご苦労様です」と「ごくろうさまです」
どちらも同じ使い方で同じ意味なのだけれど、読む際の受け取り方の印象はどうでしょう。
前者の場合、なんだか読む前から疲れませんか?
私はこの印象があまり好きではありません。
メールの冒頭の文章としてよく使われる「お疲れ様」や「ご苦労様」
これらを後者のように、ひらがなにするだけで、印象が変わると思いませんか?
文書を作成する上でひらがなは重要で、公文書等ではややこしい漢字はなるべく使わない方が望ましいとされています。
公文書で使わない漢字表現が内閣官房長官付けで昭和28年11月に通達されており、それの言いかえリストが示されてもいます。かなり多くの例が示されています。
これをみると、普段使うものにもあてはまるものも多いことがわかります。
キータッチによる文書作成が普通となってしまっている現代では、普段何気なく使ってしまっているけれど、ひらがなにするだけでも、表現はやわらぐものです。
そもそも、手書きだったら、これらの漢字を使わないかもしれないですよね。
五十音順で目についた一部をピックアップしてみました。
これらはいずれも右側のやさしい表記(ひらがな)が望ましいとされるものです。
- 曖昧:あいまい
- 生憎:あいにく
- 挙句:あげく
- 当たり前:あたりまえ
- 余りに:あまりに
- 有り難い:ありがたい
- 如何:いかが
- 一旦:いったん
- 所謂:いわゆる
- 恐らく:おそらく
- 主に:おもに
- 及び:および
- 係る:かかる
- 且つ:かつ
- 勝手に:かってに
- 構わない:かまわない
- 極めて:きわめて
- 如く:ごとく
- 殊に:ことに
- 先程:さきほど
- 些細な:ささいな
- 支える:ささえる
- 様々に:さまざまに
- 更に:さらに
- 強いて:しいて
- 然し:しかし
- 仕方:しかた
- 次第に:しだいに
- 始末する:しまつする
- 随分:すいぶん
- 直に:すぐに
- 既に:すでに
- 速やかに:すみやかに
- 折角:せっかく
- 切に:せつに
- 是非:ぜひ
- 揃う:そろう
- 大して:たいして
- 大切に:たいせつに
- 沢山:たくさん
- 但し:ただし
- 只:ただ
- 達:たち
- 例えば:たとえば
- 建前:たてまえ
- 多分:たぶん
- 駄目:だめ
- 近頃:近ごろ
- 因に:ちなみに
- 丁度:ちょうど
- 丁寧に:ていねいに
- 出来る:できる
- 取り敢えず:とりあえず
- 尚:なお
- 何故:なぜ
- 何卒:なにとぞ
- 並びに:ならびに
- 日ごろ:ひごろ
- 一先ず:ひとまず
- 他:ほか
- 外:ほか
- 本当に:ほんとうに
- 真に:まことに
- 誠に:まことに
- 正に:まさに
- 真面目:まじめ
- 又:また
- 間違う:まちがう
- 迄:まで
- 間もなく:まもなく
- 見事:みごと
- 寧ろ:むしろ
- 難しい:むずかしい
- 無駄:むだ
- 面倒な:めんどうな
- 厄介な:やっかいな
- 歪む:ゆがむ
- 汚れる:よごれる
これもひらがなでいいの?と意外に感じる言葉もあるけれど、これが公文書作成をする際には正解のようです。
これを踏まえて、この中の言葉をチョイスして、少しばかり強引ではありますが、ザクっと文章を作って比較してみます。
漢字交じりが以下の文章です。
ご連絡をいただき有り難うございます
様々な可能性から検討いたしましたが、
生憎ですが、直に対応できるものは御座いません。
面倒な仕事とは考えておりませんが、他に厄介な案件も抱えており
それが片付く頃までは難しい状況です。
取り敢えずは出来ることから丁寧に取り組んで参ります。
曖昧な回答で申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。
メールなので、難しい漢字もキータッチ+IME変換で済んでしまうから、何でもかんでも漢字にしてしまうので、このような文章になりがちです。
これを、前述の公文書作成の通達のひらがな主体に書き換えてみると、以下のようになります。
ご連絡をいただきありがとうございます。
さまざまな可能性から検討いたしましたが、
あいにくですが、すぐに対応できるものはございません。
めんどうな仕事とは考えておりませんが、ほかにやっかいな案件を抱えており
それが片付くころまではむずかしい状況です。
とりあえずはできることからていねいに取り組んでまいります。
あいまいな回答で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
どうでしょうか。
あまり変わらない?
ひらがなばかりで逆に読みにくい?
稚拙に見える?
受け取り方はいろいろあるとは思いますが、ひらがなを取り入れることによって、角が立つような表現ではなくなっているような気はしませんか?断る内容なのに。
普段、私たちが打つメールは、あくまでも一般のメールであり、公文書ではないので、すべて忠実にしたがう必要はありませんが、メールの文書を作成する際には、ひらがなを若干、意識して使うと、やわらかい文章が書けると思います。
受け手も読みやすいと思いますので、ひらがなをどんどん活用しましょう。