安価な薬価の処方薬
先日、ビオスリーというメジャーな整腸剤の処方箋を発行してもらった。
乳酸菌と酪酸菌がミックスされたビオフェルミンの進化系のようなもので、これが結構効く。
しかも、薬価は1錠5.6円と非常に安い。
ところが、調剤薬局に持っていくと、保険調剤明細書にもとづく領収額の内訳は以下のようになる。
・調剤技術料1610円
・薬学管理料380円
・薬剤料420円
合計で2410円
保険適用30%で、負担額〆て720円
これを見てなんだか違和感がある。
保険適用前の医療費ベースでいえば
本体(薬剤料)の約6倍に費用が膨らんでいる。
調剤技術料ってなに?
例えば、この薬は以下の写真のように、最初から1シート、丁寧に1日3回×1週間分(7日)にしつらえてある。
これが3週間分だから、3枚分のシートを数えて1610円。
もっと具体的に書けば、調剤技術料として、薬の棚から薬のシートを3枚数えて持ってきて、レセプトに記載するだけで1610円はなんだか高いのではないかと思うのです。
そもそも、レセプトの記載は薬学管理料?
疑問に思って、調剤技術料を調べてみるともっとびっくりした。
受付回数が少ないところほど、いわゆる小さい薬局ほど点数が高くなる。
すなわち同じ薬でも取り扱いが少ない薬局であれば値段が高くなるということ。
その一方で、皮膚科とかで塗り薬が出される場合、ワセリンとステロイド薬を混ぜたりする時があり、これは処方されたグラム数の膏薬を均一になるように混ぜて、容器に入れたりするから、結構手間がかかると思われる。
これは調剤技術料として取るべきと思ったりするのだけれど、これは加点されているわけではない。
とても難解な制度設計のようだけれど、それでいいのだろうか。
薬局も、人件費だけでなく店舗の維持費など、経営もしていかなければならないから、ある程度の付加価値も必要なのは理解する。小さい薬局ほど高くなるということは、それを考慮してのことであろう。
それにしても、ザックリとしていて、現場の手間が反映されていない調剤手数料の仕組みに疑問を持たざるを得ない。
もっと違ったお金のかけ方はできないのか
人々の長寿命化、高齢化と表裏一体として医療費削減の課題があることは理解しているつもりです。
でも、このような実態であれば、薬価をあげて、もっと新薬開発の方に回せるようなスキームづくりにかじを切るべきだと思います。ただでさえ、トランプ政権に代わって、製薬業界は悲観的ムードが漂っているわけですから。
日本でも、ジェネリック製剤なども一般的になり、薬価もだいぶ下げる方向に進んでいる昨今、さらなる薬価を下げるのであれば、この調剤技術料の部分に少ししわ寄せすることにはなるかもしれませんが、ここに企業努力をさせてもいいのではないでしょうか。
今後の医者不足、病院不足を危惧して、セルフメディケーション政策を進めるのであれば、この部分の制度をしっかりと、かつ、はっきりと見直すべきですよね。
新薬の開発ってビットコインのように、最初はポコポコあたりを引ける(発掘しやすい)ようですが、開発し尽くしてしまった現代となっては、新薬を当てるのは天文学的確率であり、実際にかなり進んだフェーズの新薬開発も見通しが悪化したら諦めざるを得ない等、相当な労力がかかると聞いたことがあります。もちろん、製薬会社のバイアスがある程度かかった話なんでしょうけれども、間違いではないでしょう。
こんな制度下では、医薬分業は理解したいけれど、雇用対策の道具として使われているだけのようにしか思えず、そういう部分の議論は確実に必要だと感じた薬局帰りの帰路でした。