つい先日、東京駅八重洲口の外の広くなった路上で待ち合わせをしていた時のこと。
その時、私は時間に追われた鬼気迫るオーラも出さず、かといって無気力オーラも出さず、まあ、隙のある手ごろなサラリーマンとみられたのであろうか、紺色の地味なスーツに黒いコートを着た若い男性が近寄ってきた。
待ち合わせでここから離れられないから、キャッチだったら面倒くさいな。
とりあえず、電話するふりでも見せておくか、とコートのポケットからガラケーをとろうと手を伸ばそうとしたところ、案の定、声をかけてきた。
(男)「あのー、すみません」
(私)「はい?」
(男)「ちょっと会社の新入社員研修でですね、協力していただきたいことがあるんですが、よろしいでしょうか?」
―こんな時期に新入社員研修?ちょっと怪しいなと思いながらも、切実そうな顔をしているものだから、そのままちょっと聞いてみることにした。
(私)「何でしょうか?」
(男)「あの、お名刺を交換させていただきたいんですが・・」
全く想定していない言葉だった。だいぶ怪しい。
(私)「は?ダメ!」
(男)「どうしてもだめでしょうか?」
(私)「そんなのムリに決まってるでしょ、まったく知らない人にしかも道端で」
さらに続けて、
(私)「というかさ、研修だったら、研修でやってますなんて前提条件まで話ちゃダメでしょ。どこの会社よ」
そうすると、その男はハッとした様子で、「あー、そうっすね、あざーっす」と、なんだかチャラい言葉に戻って、その場から離れていった。ただし、視界から消えるほど離れていったわけでもないので、反社会的な何かではないような気もする。
そして、私が待ち合わせをしている視界の中、またほかの人にも声をかけていた。
しかし、どう見ても怪しいんだけれど。。
それとともに、「あざーっす」も若干気になる。変なアドバイスをしてしまったのかもしれない。
それに、もし本当に企業の新人研修だとしたらどんな業種よ。とわずかながらの疑問は残ったままだ。
もしこれが名刺狩り(今、言葉作った)なら、読んでいただいた皆様も注意してくださいね。
東京は怖いところです。ってならないように。